1994年12月3日、¥39,800という値札とともに発売された灰色の薄い箱は、のちに累計1億240万台超を出荷しました(ソニー・インタラクティブエンタテインメント公表値・2012年3月31日時点)。その初代プレイステーションを、今度はレゴ(R)ブロックで組めるようになるかもしれない ── 72306 という番号がその噂の中心にあります。
そして8月9日、まったく別の場所でもうひとつの動きがありました。LEGO Ideas に投稿されたファン制作の「PlayStation 1」が、10,000人の支持を集めて審査段階へ進んだのです。片方は水面下のカタログ、片方は公開の投票ページ。同じ機械をめぐる2つの動きが、同じ週に並びました。
本記事は海外メディアの報道と、公開データベースの登録内容にもとづく速報です。72306・40899はレゴグループから正式発表されておらず、名称・仕様・価格・発売時期はすべて変更されうるものとして読んでください。リーク画像・噂の実物写真は掲載していません。
8月9日、ファンの「PlayStation 1」が1万票に届いた
LEGO Ideas のプロジェクトページを開くと、事実関係はすべて一次で確認できます。投稿者は Ahynar4_s、投稿日は2026年1月14日。そして8月9日付でレゴグループから届いた更新にはこう書かれています ── 10,000サポーター達成、審査段階へ進む、と。
作品の中身も本人の説明どおりです。700ピース超、上面のフタが開いてディスクを入れられる、有線コントローラーはケーブルまで再現、ボタンの記号はステッカーで表現。本人はスペイン語話者で、説明文の最後は「いちばん好きなことをやって、夢を追いかけて」で締めくくられています。
ここからの流れも、更新文が具体的に示しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる審査 | 第2回2026レビュー |
| 対象条件 | 2026年5月〜9月7日に10,000票へ到達した企画 |
| 審査開始 | 2026年9月 |
| 審査期間 | 開始から数か月かかる |
| 結果 | 製品化するか否かの「Go / No Go」判断 |
つまり、このファン企画の審査が始まるのは9月です。一方で、後述する公式側の噂は10月1日発売とされています。両方が本当なら、審査が終わるより先に、審査対象と同じ題材の公式セットが店頭に並ぶことになります。
海外メディアが「不運なタイミング」と書いたのはこの点で、1万票は製品化の保証ではない、という当たり前の事実がここで効いてきます。本サイトが記事にした「ラ・カトリーナ」21372は、その関門を通り抜けて店頭まで届いた側の例です。
レゴアイデアの製品化ルートは1万票だけではありません。本サイトが7月に扱った「X-ファイル」21369は、1万票ではなく「Build Your Nostalgia – 90s Throwback!」チャレンジのグランプリ受賞作として製品になりました。ファン企画が製品になる道は複数ある、ということでもあります。

同じ3月のリークは、7月に答え合わせが済んでいる
Brick Fanatics によれば、72306は3月に「マリオのアーケード機」と同じ噂として初めて出てきたとされています。そのアーケード機のほうは、7月に 72051 ドンキーコング アーケードゲームとして現実になりました。
本サイトは7月14日にその72051のリークを記事にしています。当時「噂・未確定」として表に載せた数字と、いまBricksetに載っている確定値を並べると次のようになります。
| 項目 | 7月14日の記事(噂) | 現在の確定値 |
|---|---|---|
| ピース数 | 約1,367ピース | 1,367ピース |
| 参考価格 | $199.99 / €169.99 / £149.99 | $199.99 / €169.99 / £149.99 |
| 対象年齢 | 18+ | 18+ |
3通貨の価格もピース数も、噂の段階の数字がそのまま残りました。同じ系統から出た72306の数字も、少なくとも「でたらめではない」と考える理由にはなります。
ただし、同じリークの中でいちばん動いたのは日付でした。72306の発売時期は当初2026年12月と報じられ、7月31日のBrick Fanaticsの記事では、情報源BrickTapの主張として10月1日へ修正されています。セット名も「PlayStation 1」から「PlayStation」へ、末尾の1が落ちたとされます。仕様は残り、日付と名前は動く ── 本サイトが『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の答え合わせでも見た形です。
カタログに入っているもの、入っていないもの
噂そのものより確かめやすいのは、公開データベースに何が登録されているかです。8月10日時点のBricksetを見ると、噂の2つの番号はまったく違う姿をしていました。
| 項目 | 72306 | 40899 |
|---|---|---|
| 名前 | {?}(未登録) | {?}(未登録) |
| テーマ | TBD | TBD |
| 年 | 2026 | 2026 |
| ピース数 | 1,911 | 未登録 |
| 参考価格 | $159.99 / €159.99 | 未登録 |
| 1ピースあたり | 8.4セント | 未登録 |
| 対象年齢 | 18+ | 未登録 |
| 梱包 | Box | 未登録 |
| バーコード | EAN 5702018068281 | 未登録 |
72306にはピース数・2通貨の価格・年齢・梱包形態・EANバーコードまで入っているのに、名前とテーマだけが空欄です。対して40899は、番号と年以外に何もありません。同じ「噂の2点」でも、カタログ上の実在の濃さがまるで違います。
ちなみに40899に当てられている「Astro Bot」は、ソニーのチーム・アソビが手がけた2024年のPS5用タイトルです。Brick Fanaticsは、Metacriticで2024年の最高評価を得た作品だと紹介しています。購入特典セットの中身は「ピース数すら分かっていない」とも書かれており、番号だけが先に押さえられている状態と符合します。
本サイトのデータベースにも両方の行はあります(72306の製品ページ/40899の製品ページ)。72306は2026年7月3日に、40899は7月30日に取り込まれた暫定登録で、名前が判明していないため「LEGO 72306」という仮の表示のままです。ピース数1,911・18歳以上・Boxまでは入っており、「欲しい」に登録している人は90人。40899は23人です。
ここで一点だけ、はっきりさせておきます。Brimagaの製品データはBricksetを上流のひとつとして取り込んでいます。したがって「自社DBの1,911ピースが噂と一致した」ことは、独立した裏付けにはなりません。同じ数字を2か所で見ているだけです。確かめられるのは「レゴのカタログ運用の側にこの番号と数値が存在する」という一点で、それが何の製品かを保証するものではありません。
もうひとつ、番号の置き場所も見ておきます。72xxx番台をデータベースで並べると、7203x〜7205x台はマリオカートやゲームボーイ、ドンキーコングといった任天堂系、7215x〜7216x台はポケモン、72423はシュレックが占めています。そのなかで 72306は、722xx〜723xx台にただ1件だけ存在する行でした。前後に何もない番号にぽつんと置かれている ── それ自体は何も証明しませんが、既存のどのラインの続き番号でもない、とは言えます。

レゴのレトロゲーム機に、初めてソニーが並ぶかもしれない
レゴが「実在のゲーム機そのもの」を組み上げる路線は、2020年のニンテンドー エンターテインメント システムから始まりました。Bricksetに載っている参考価格で並べると、こうなります。
| セット | 年 | ピース | 参考価格(USD) | 1ピースあたり |
|---|---|---|---|---|
| 71374 ニンテンドー エンターテインメント システム | 2020 | 2,646 | $269.99 | 10.2セント |
| 10306 Atari 2600 | 2022 | 2,532 | $239.99 | 9.5セント |
| 10323 ゲームセンターマシン パックマン | 2023 | 2,651 | $269.99 | 10.2セント |
| 72046 ゲームボーイ | 2025 | 421 | $59.99 | 14.2セント |
| 72051 ドンキーコング アーケードゲーム | 2026 | 1,367 | $199.99 | 14.6セント |
| 72306(噂) | 2026 | 1,911 | $159.99 | 8.4セント |
噂どおりなら、72306はこの6作のなかでいちばんピース単価が安いセットになります。直前の72051が14.6セントですから、その6割弱です。1,911ピースで$159.99という組み合わせは、2,500ピース級で$240〜270だった初期3作と比べても割安な側に振れています。
表の価格はBricksetに掲載されている参考価格をそのまま並べたものです。ただしスタッズによれば、71374の発売当時(2020年8月)の米国定価は$229.99でした。その後の値上げを経た現在の表示が$269.99です。発売時価格と現在価格が混ざらないよう、この表は「Bricksetの現在の掲載値」で統一しています。
そして、これがソニーの機械だとすれば、その意味は「もう1台増える」では済みません。ソニーのゲームIPはすでにレゴになっています ── 2022年の「Horizon Forbidden West: トールネック」(76989)、2024年の小型セット「Horizon Watcher」がそれです。しかし本サイトのデータベースを見るかぎり、ソニーのハードウェアそのものをブロックで組むセットは見当たりません。PlayStationの名を冠した既存の登録は、レゴのゲームソフトのPS版パッケージと、2015年の「LEGO Dimensions PS4スターターパック」(ゲーム同梱品)だけです。
つまり噂どおりなら、任天堂・アタリ・バンダイナムコに続いて、ソニーが4社目の「ゲーム機をレゴ化した権利元」になります。
日本にとってのプレイステーション、そして日本価格の試算
初代プレイステーションは、日本で先に出た機械です。GAME Watchの回顧記事によれば、1994年12月3日の発売当日は徹夜組が出るほどの盛況で、用意された10万台強が即日で完売しました。このときの価格が¥39,800(SCPH-1000)です。累計出荷は前述のとおり1億240万台超に達しています。
日本の読者にとっていちばんの関心は、たぶん「で、日本ではいくらになるのか」でしょう。本サイトは7月にレゴの日本価格はドル定価から計算できないという記事を出しました。そこで作った指標を、そのまま当ててみます。
日米の定価が両方そろっている現行112セットで、日本定価(税込)を米国定価(税抜)で割った値の中央値は 1ドルあたり¥165.6、幅は¥134.9〜¥214.1でした。$159.99に当てると次のようになります。
| 当てる基準 | 1ドルあたり | 試算 |
|---|---|---|
| 全112セットの中央値 | ¥165.6 | 約¥26,500 |
| 全112セットの下限 | ¥134.9 | 約¥21,600 |
| 全112セットの上限 | ¥214.1 | 約¥34,300 |
| ゲームボーイ 72046 と同じ | ¥166.4 | 約¥26,600 |
| ドンキーコング 72051 と同じ | ¥149.9 | 約¥24,000 |
注目したいのは下の2行です。同じレトロゲーム機路線の直近2作でも、1ドルあたりの日本価格は¥149.9と¥166.4に割れています(ゲームボーイ$59.99→¥9,980、ドンキーコング$199.99→¥29,980。いずれも8月10日の公式ストア表示)。同じ年、同じ売り場、同じ性格の商品でこれだけ動くので、レートを1つ選んで当てても幅は残ります。
現実的な読みとしては、同じ路線の直近2作が示す¥24,000〜¥26,600を中心に見ておいて、上下に振れる余地がある、というところでしょう。これは試算であって予想ではありません。そもそも$159.99という米国定価自体が噂です。

コレクター視点:この路線は、廃番のあとに何が起きているか
新製品の噂を追うだけなら海外メディアで足ります。日本の相場サイトとして書けるのは、この路線の過去作が日本でどうなったかです。
いちばん新しい実例が、7月末で廃番予定を迎えたパックマンです。8月10日にレゴ公式ストア(日本)の商品ページを開くと、こうなっていました。
| 項目 | 8月10日時点の表示 |
|---|---|
| バッジ | 限定/まもなく廃番 |
| 表示価格 | ¥37,980 → ¥26,586(30%オフ) |
| 在庫 | 売り切れ |
値札は30%オフのまま、買えない状態です。本サイトが7月に整理したレゴの廃番は4段階あるというフレームでいえば、「まもなく廃番の表示は出ているが在庫が尽きた」第3段階にあたります。
その一方で、国内モールの在庫あり出品はどうなっているか。Brimagaが集めているオファーから、在庫ありの最安とその次を並べます。
| セット | 国内モール最安(在庫あり) | 2番目 | 観測日 |
|---|---|---|---|
| 10323 パックマン | ¥56,708 | ¥57,573 | 8月7日 |
| 71374 NES | ¥53,800 | ¥54,000 | 7月29日 |
| 10306 Atari 2600 | ¥29,800 | ¥36,660 | 8月4日 |
| 72046 ゲームボーイ | ¥8,350 | ¥8,350 | 8月7日 |
| 72051 ドンキーコング | ¥26,983 | ¥28,470 | 8月7日 |
パックマンは、公式の表示価格¥37,980に対してモールが¥56,708 ── 約1.5倍です。公式に付いていた30%オフの¥26,586と比べれば2倍を超えます。ただし公式は売り切れなので、実際に買える価格はモール側の数字のほうだ、というのがいまの状態です。
NESは公式ストアではすでに「製造終了」表示で、価格の表示自体がありません。Bricksetが出している新品の現在価値(推定)はおよそ¥52,935で、モールの¥53,800とほぼ重なります。Atariも同じく公式ストアに日本価格の表示がなく、廃番後の価格を日本の公式定価と直接突き合わせられたのは、パックマンの1本だけでした。
最安と2番目を並べているのは、型番の一致だけで別物の出品がまぎれ込むことがあるためです。今回は極端な開きのある行はありませんでした(Atariの¥29,800と¥36,660は23%差ですが、商品名にセット番号と製品名が入った通常の出品でした)。観測日がセットごとに違うのは、価格の巡回取り込みが製品ごとに順番に回っているためです。
対して、まだ現行の2作 ── ゲームボーイとドンキーコング ── は、モールのほうが公式より安く出ています(ゲームボーイは公式¥9,980に対し¥8,350、ドンキーコングは公式¥29,980に対し¥26,983)。売っているうちは値引きが乗り、公式から消えたあとは上乗せが乗る。数としては現行2本・廃番1本の観測ですが、方向はきれいに割れています。
ここで正直に線を引いておきます。これを72306に当てはめて「買えば上がる」と書くことはできません。まだ発表すらされていない製品で、噂どおりならこの路線の中でもピース単価の水準が違い、そもそも比較できる過去作は5本しかありません。そのうち廃番後の日本価格を公式定価と突き合わせられたのは1本だけです。これを延長して値上がりを予告するのは、根拠の量に見合いません。
言えるのは、もっと地味なことです。公式に在庫がある時期のほうが、安く買えていました。ゲームボーイもドンキーコングも、いまは公式より安いモール出品があります。パックマンとNESは、その時期をもう過ぎました。10月1日という噂の日付が本当なら、判断すべき時期は思ったより早く来ます。
72306が本当にプレイステーションなのか、40899が本当にAstro Botなのかは、レゴグループが発表するまで分かりません。分かっているのは、カタログに1,911ピースと$159.99とバーコードが入った番号があること、その番号は既存のどのラインの続きでもない場所に置かれていること、そして同じ3月のリークからもう1本が実際に発売されていることです。
正式発表が出たら、この記事の数字と突き合わせます。
※ LEGO(R)およびレゴは、レゴグループの商標です。PlayStation および Astro Bot はソニー・インタラクティブエンタテインメントおよび各権利者の商標です。本記事はレゴグループおよび各権利者とは関係のない、非公式の情報記事です。掲載した72306・40899の仕様・価格・発売時期は未発表の噂を含み、正式発表で変更される可能性があります。価格・在庫は記載の観測日時点のものです。












