レゴグループが8月25日、2026年上半期の決算を発表しました。売上・利益とも2桁で伸び、半期としては過去最高です。
決算資料のなかに、相場サイトとして見逃せない一文があります。レゴが「上半期のベストセラー・テーマ」を5つ名指ししたのです ── スピードチャンピオン、ボタニカル、テクニック、アイコン、スター・ウォーズ。
Brimagaは各セットの「欲しい」と「持っている」の登録数を持っています。公式が言う売れ筋と、コレクターが欲しがっているものは、同じ順番に並ぶのでしょうか。 並べ直してみました。
そしてもうひとつ。決算はスマートプレイを成果として挙げていますが、Brimagaは9日前に「日本では20セットすべてが買えない」と実測して記事にしています。そちらも今日、20セットぶんを測り直しました。
Brimagaが使う「欲しい」「持っている」はBricksetのユーザー登録数で、メーカーの出荷数でも売上でもありません。熱心なコレクターほど登録する偏りがあります。この記事が比べられるのは「公式が売れ筋と呼んだテーマが、コレクターの登録でも上に来るか」までです。決算の数値はレゴ公式のリリース、日本の在庫・価格は2026年8月26日時点の実測です。
まず決算の数字
| 項目 | 2026年上半期 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上 | DKK 419億 | +21%(為替の影響を除くと+26%) |
| 営業利益 | DKK 109億 | +22%(同+29%) |
| 純利益 | DKK 86億 | +32% |
| 消費者売上 | - | +22% |
| 上半期の新製品 | 330以上 | - |
| 直営店舗数 | 1,106店 | - |
前年同期の売上はDKK 346億なので、半年で73億クローネ増えた計算になります。CEOのニールス・B・クリスチャンセン氏は、全年代に届くブランドの厚みと、文化的に関連性の高い体験が世界中で需要を牽引していると説明しています。
公式の5テーマを、自社の「欲しい」で並べ直す
Brimagaのカタログで2026年1〜6月に発売された312本を集計し、公式が挙げた5テーマを抜き出しました。比較の基準として、312本全体の中央値も置いています。
| テーマ | 上半期の本数 | 「欲しい」中央値 | 全体中央値の何倍か | 所有登録の合計 | 定価中央値 | ピース中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| スピードチャンピオン | 6 | 1,752 | 4.3倍 | 10,348 | $29.99 | 254 |
| アイコン | 9 | 1,574 | 3.9倍 | 12,418 | $129.99 | 1,060 |
| ボタニカル | 7 | 1,346 | 3.3倍 | 8,489 | $49.99 | 435 |
| スター・ウォーズ | 22 | 1,188 | 2.9倍 | 15,644 | $72.49 | 516 |
| テクニック | 12 | 536 | 1.3倍 | 2,444 | $114.99 | 800 |
| (全体312本) | 312 | 406 | 1.0倍 | 124,528 | $59.99 | 301 |
結果は、公式の発表とかなりよく重なりました。5テーマすべてが全体の中央値を上回っています。
そのうえで、順番には見どころがあります。
首位はスピードチャンピオンでした。 定価中央値$29.99、ピース中央値254 ── 5つのなかでいちばん安く、いちばん小さいテーマが、「欲しい」では全体中央値の4.3倍で頭ひとつ抜けています。1台あたりが軽いので集めやすく、車種が変わるたびに新しい1台が欲しくなる、という性質がそのまま数字に出ている格好です。

本数がいちばん多いのはスター・ウォーズ(22本)ですが、「欲しい」の中央値では4位です。所有登録の合計は15,644で5テーマ最多なので、「広く行き渡っている」ことと「1本あたりが欲しがられている」ことは別、という当たり前がここでも出ています。

テクニックだけが低いのは、指標の性質
5テーマのなかでテクニックだけが1.3倍と目立って低い。これはテーマが弱いのではなく、指標のほうの偏りと考えるほうが自然です。
Bricksetの「欲しい」は、飾るためのセットや版権もののほうが登録されやすい傾向があります。テクニックは仕組みを組んで動かす方向の製品で、しかも定価中央値$114.99・ピース中央値800と、5テーマでいちばんの重量級です。買った人は登録するが、まだ持っていない人が「欲しい」に入れる回数は少ない ── そういう形の数字に見えます。
言い換えると、この指標で下に出たからといって売れていないとは言えません。 決算のほうがそれをはっきり示しています。

名指しされた5テーマは、新製品の17.9%だった
もうひとつ数えておきます。5テーマの上半期の新製品は合計56本。Brimagaのカタログが捕捉した312本に対して 17.9% です。
つまりレゴは、上半期に出した製品の6分の1ほどのテーマを「ベストセラー」として前面に出していることになります。残りの256本は、決算の文面には名前が出てきません。
公式は「330以上の新製品」と書いていますが、Brimagaのカタログで上半期の発売として拾えたのは312本です。取り込みの範囲と発売日の定義(発表日か発送日か)が違うためで、どちらかが誤っているわけではありません。比率はこの312本を分母にした値です。またレゴのテーマ分類は年によって粒度が変わるため、8月14日に書いたとおり、この表は年をまたいだ比較には使えません。

決算に載ったスマートプレイは、日本では今日も1本も買えない
決算資料には、こう書かれています ── 「同社は、より対話的なレゴ遊びの体験を家庭に届ける革新的な技術に基づくレゴ(R)スマートプレイのプラットフォームを立ち上げた。これはプレイにおけるレゴシステムの重要な発展を示すものだ。これまでにレゴ(R)スター・ウォーズとレゴ(R)ポケモンで展開されている」。
9日前の記事で、日本の公式ストアの全20セットが「お住まいの地域ではご購入いただけません」で円価格を持っていないことを実測しました。8月26日に、同じ20セットをもう一度確かめました。
| 観測(2026年8月26日) | 結果 |
|---|---|
| 対象 | スター・ウォーズ 75420〜75427(8本)+ポケモン 72156〜72167(12本)=20本 |
| 円価格を持つページ | 0本 |
| 購入ボタン | 「バッグに入れる」ではなく「入荷時にお知らせ」 |
| 特設ページの表示 | 「スマートプレイの商品は現在、お住まいの地域ではご購入いただけません」 |
9日前とまったく同じでした。 加えて今日は、日本語のスマートプレイ特設ページの冒頭に「これらの商品は現在、お住まいの地域ではご購入いただけません」という告知が出ていることも確認しました。個別の商品ページだけでなく、入口のページにも同じ断りが立っています。
商品ページの実物も2本開いて確かめています。72164「ピカチューのトレーニングハウス」(400ピース・6歳以上)と、75426「スマートプレイ:ミレニアム・ファルコン」(885ピース・9歳以上)。どちらも「入荷時にお知らせ」で、「レゴ(R)スマートプレイの商品は現在、お住まいの地域ではご購入いただけません。購入可能になった際に通知を受け取りましょう」と表示されます。

決算が世界の成果として並べているものが、日本ではまだ入口の前にある ── これは批判ではなく、日本の読者が知っておくべき事実として書いています。買えるようになるのを待つ人は、商品ページの「知らせる」を登録しておくのが現状の唯一の手です。
対照:同じ決算に出てくるKPopデーモン・ハンターズは、日本で買える
決算はパートナーシップの成果として、F1、FIFAワールドカップ2026、そしてKPopデーモン・ハンターズを挙げています。前の2つはBrimagaでも記事にしてきましたが、KPopデーモン・ハンターズはどうか。
8月26日に確かめたところ、72537「ダーピーとスッシー」は日本の公式ストアで税込¥11,980・在庫あり・上限10でした(825ピース・9歳以上)。日本語のテーマ名は「レゴ(R) KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ(TM)」です。米国定価$69.99に対して1ドルあたり¥171.2 ── 7月に現行105セットで出した中央値¥165.6より少し高い側ですが、普通に買えます。
つまり同じ決算の同じ段落に並ぶ成果でも、日本で買えるものと買えないものが混ざっている。スマートプレイだけが特別扱いになっている、という見え方になります。
コレクター視点:この決算から読めること、読めないこと
読めること
- 公式が名指しした5テーマは、コレクターの「欲しい」でも全部が全体中央値の上にいる。両者はよく重なる
- そのなかで最も欲しがられているのは、いちばん安くていちばん小さいスピードチャンピオン
- 本数(スター・ウォーズ22本)と1本あたりの人気は連動しない
読めないこと
- テーマごとの売上金額は公表されていません。「ベストセラー」の順位も、レゴは並べていません(記事の表はBrimagaの指標での順です)
- 日本単独の数字も出ていません。決算が触れる地域はアメリカ大陸・西欧・CEEMEA・アジア太平洋という括りまでです
- テクニックのように、この指標では下に出るが実際は売れている、というテーマがある
相場を追う側としては、「欲しい」が高いテーマは廃番後に動きやすい、という経験則の裏取りに使えます。ただし今回わかったのは、その指標が版権もの・飾るもの寄りに偏っていることでもありました。テクニックの廃番後を読むときは、この表をそのまま当てないほうがよさそうです。
半年で売上が21%伸び、店舗が1,106になり、新製品が330本出た会社の決算に、5つのテーマ名が並びました。そのうち4つは、コレクターの「欲しい」でも上位に来ます。
一方で、同じ資料が誇るスマートプレイの20セットは、日本のストアで今日も価格を持っていません。世界の決算と、日本の棚のあいだには、まだ9日前と同じだけの距離があります。
※ LEGO(R)およびレゴは、レゴグループの商標です。STAR WARS は Lucasfilm Ltd.、ポケモンは株式会社ポケモン、KPop Demon Hunters は Sony Pictures Animation および各権利者の商標です。決算の数値はレゴグループの公式発表(2026年8月25日)によります。本記事はレゴグループとは関係のない、非公式の情報記事です。「欲しい」「持っている」はBricksetのユーザー登録数であり、出荷数・売上ではありません。価格・在庫はすべて2026年8月26日時点の観測です。











